「きゃーん!ルートルートるーるートントントトトンルルルルルーッツ!!きゃーきゅーきょールーきゅんルーたんルッちゃんルートヴィッヒヴェヴェヴェヴェストぉ!」
「うわっ!なんだ」


本を読んでいたルートに後ろから羽交い絞めもどき炸裂!どうだあたしの強さに参ったかこのマッチョ野郎!

ざりざりと私のあごにルートの髪の毛が当たる。整髪量の所為で薄く光る彼の頭のそれが私のあごについて私の顎までもが光る。
いかん、油ギッシュはおんなのこの敵!と言わんばかりに離れてファインティングポーズを取る。

私の動きに翻弄された(のか?)ルートは呆気に取られて反撃してくる様子も無い。ファインティングポーズを解き、今度はラグビー選手ばりのタックルをお見舞いした。でも力は底辺である。
びくともせずにあたしを受け止めたルートは「くっついて来たり離れたり忙しいやつだな」と呆れていた。


ごりごりする胸板に顔面を擦り付けて「むぶぶぶぶー、いいにおい」変態だ私は。ごめんな変態で。

ルートは『恋人と上手く行く方法』ってなあからさまに胡散臭い本を慌てて閉じ、しゅっとテーブルの向こう側へ移動させる。
あっ、くっそ、あたしが読んでやろうと手を伸ばしていたことを分かっていたのか。

椅子に座ったままのルートは私をしゃんと立たせて、それから肩を掴まれて後ろを向かされた。なに?なに?と今からされることを期待しながら手をわきわきさせていると、そのままルートの膝の上に座らされた。
大きい足だ。私だって軽々乗っけられる。


「くらえバックヘッドロック」頭のすぐ後ろにある顔に頬を擦り付けると、ルートもそれに答えるように頭を撫で返してくれる。

「まったく、イタリアに影響されたのかなまえは」
「誰が教えてもらいますか!フェリは私の恋敵なんだぞおおおお!ぐわあああああ!」
膝の上でじたばたしだす私を抑えるルート。今の私の力は無限大なのよ!と抵抗してみる。…やっぱだめ力強い

「それって、」とルートがちょっと躊躇いがちに言葉を発そうとする。
その先の言葉が予測できたので「あーいあいあいあいあいおさるさーん」と大きい声で妨害してやった。あたしだって恥ずかしいわ。

「そうですだから私もフェリのまねして甘えてみたんですー。どう?フェリっぽい?」
「いや…ちょっとなんか、イタリアとは少し違った…」
首をかしげる。意味不明さはきっとフェリと同じなんだろうが、きっと手段だ。たぶん手段に何らかの違和感を覚えていると思う。
もちろんそうだ、私はルートに面と向かってハグもキスもできないんだから。名前連呼してちょっと面白おかしくくっついて行くしかできっこ無い。


「あーあ、フェリシアーノがうらやましい!」


いっぱいルートの事しってていっぱいルートに触っていっぱいルートに甘えて!

あたしはそれができないから、彼が羨ましくてしょうがなかった。彼が遊びに来るといつもルートはそっちに行っちゃうし。
私はなんか嫉妬の所為でフェリとはぎこちないし。だからフェリが来たときはギルと遊びに行くけど。


「そんな事…第一、俺があ、あ、あ、あ、ああ愛してるのは…なまえ、だけで…」
竜頭蛇尾な発言に、「はい?」と耳を傾ける。ルートは「も、もう言わんぞ!」とそっぽを向いてしまった。
いやルートさんルートさん。私耳が遠くて本当に最後のほう何言ってるかわかりませんでした。

「ごめんもっかい言って」
「な、な!」
真っ赤な顔して打ち震えるルートさん。可愛くて可愛くて仕方ないからふふふと笑ってやった。



「いいよ、別に言わなくても」






だって、

 



(わたしを愛してくれてる証拠だもの)